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相続した空き家、3年以内に売らないと損をする?


2018年3月16日

もしあなたが故郷に一人暮らしの親を持つ身であるなら、将来実家を相続した際に損をしないよう、この記事の情報を活用してください。

一人暮らしの親御さんが亡くなって空き家を相続すると、相続人となるあなたはその不動産を所有しているだけで税金がかかるので売却を検討することになります。

その際の売却益には不動産譲渡所得税という税金がかかりますが、その税金を減らすことができるのが今回のテーマ「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。

この特例を使える場合でも本人が知らなければ誰も教えてくれませんから、ぜひ知っておいてくださいね。

あなたにとってのメリットは?

まずは本特例のメリットを知りたいですよね。

メリットはズバリ「減税」です。

冒頭で触れましたが、本来は不動産を譲渡した場合、その譲渡益(譲渡所得金額)には税金がかけられます。

計算式としては、「税金の額=不動産の売却代金(譲渡所得金額)×税率」

買い手から頂く代金全てが課税対象の「不動産の売却代金(譲渡所得金額)」になるわけではなく、一定の必要経費を差し引くことができます。

必要経費分を控除して正味の儲け額を減らすことで、算出される税額を小さくすることができます。

ここでは理解がしやすいように必要経費についての解説は省略しますが、本特例は必要経費を控除したうえに、さらに譲渡所得金額から3000万円を控除することができるものです。

例えば買い手から頂いた売却代金が4000万円、必要経費が1000万円だとすれば、本来の儲けとなる譲渡所得金額は3000万円です。本特例を使うことで、ここからさらに3000万円を控除することができ、数字上の儲けが0になります。

すると税率をかけても0ですから、つまりは譲渡所得税が全くかからないということです。

もし譲渡所得金額が0にはならなくても、税率をかける対象が小さくなるわけですから算出される税額は確実に小さくなります。

ちなみに税率は対象不動産の所有期間の長短により20%と39%の二つがありますが、相続不動産の場合はほとんどが20%です。

譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下の場合は39%で、5年を超える場合に20%となります。

その所有期間は被相続人(亡くなった人)が生前に所有していた期間と、相続人が相続後に所有した期間が合算されるので、ほとんどのケースで20%税率が適用になります。

具体例を見てみよう

例えば、

売却金額=5000万円

必要経費=1000万円

税率=20%

とすると、不動産譲渡所得税は

(5000万円-1000万円)×20%=800万円

となりますが、特例を利用すると

(5000万円-1000万円-3000万円)×20%=200万円となります。

つまり、600万円分の「減税」効果を得られたことになります。

とても大きいですね。

このようにあなたの税負担を大きく減らしてくれるのが本特例です。

ただ、特例というくらいですから誰でも利用できるわけではありません。

売却に先立ってやらなければならないことや要件もいくつかあります。

これらを次項から見ていきます。

 

建物のリフォームや解体が必要なこともある

 

相続で受け継がれる家屋は経年劣化により老築化が進んでいることが多いでしょう。

最近リフォームをして最新の耐震基準を満たしているならば別ですが、そうでない場合は耐震基準を満たすようにリフォームを施すか、あるいは家屋を取り壊して更地にしなければ本特例を利用することはできません。

家屋を取り壊した場合は土地の売却益が本特例の対象になります。

家屋の解体には費用がかかりますが、それでも特例を利用できないよりはかなりお得になるケースが多いです。

 

特例を利用するための3種類の要件を確認

 

本特例を利用にはいくつかクリアすべき要件があります。

大きく3種類に分かれていますので以下の①~③でそれぞれ確認します。

①売却日に係る期間的要件

期間的要件は以下a、bの両方を満たす必要があります。

a:相続発生日から起算して、3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること

b:本特例の適用期間である平成28年4月1日~平成31年12月31日まで譲渡すること

上の二つを整理すると、aは相続発生日から譲渡日までの期間に制限があることの問題、bは本特例の制度自体の有効期間の問題と捉えると分かりやすいかもしれません。

bの方の有効期間としては、今年は平成30年ですから来年の年末までの譲渡が対象ということですぐに終わってしまう気もしますが、空き家問題は増加する一方ですので本特例の延長の可能性は十分にあります。

その場合でもaの要件を満たす必要があるので、ざっくりと「相続発生後3年以内に売却すること」を意識しておきましょう。

②相続した家屋に係る要件

特例の対象となる家屋は以下の性質を持つものでなければなりません。

a:相続開始直前において、被相続人(亡くなった人)の居住用として使われていたこと

b:相続開始直前に、被相続人以外に居住していた者がいないこと

c:昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること

d:区分所有建物(マンション)でないこと

e:相続の時から譲渡の時までに居住したり、誰かに貸し付けたり、事業に使用していないこと

③譲渡時の要件

譲渡の際には以下の要件を満たさなければなりません。

a:譲渡価格(売却代金)が1億円以下であること

b:譲渡時において家屋が現行の耐震基準に適合していること

 

他の税制との適用関係は?

 

税制上の特例は数多くあり、不動産の売却に関係する各特例は併用できるものと選択制(併用不可)であるものがあります。

ここでは今回のテーマである「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」に関係のある4つについて、併用できるものと併用できないものに分けて説明します。

<併用できるもの>

①マイホーム特例

自己の居住用の不動産を売却した場合に譲渡所得金額から3000万円を控除できる制度です。

ただし、今回のテーマである空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例と同一年内に併用する場合には、両方を合わせて3000万円が上限額になることに注意が必要です。

②居住用不動産の買い換えの特例

住み換えなどで居住用不動産を買い換えた場合に、譲渡財産よりも買換え財産の価額が大きい場合には課税を繰り延べる制度です。

③買い換え居住用不動産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

居住用不動産の買い換えにおいて譲渡損失が出た場合に、その損を他の所得から一定期間控除できる制度です

④居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

こちらは買い換えを必要とせず、③と同じように居住用不動産を売却した際の譲渡損失を一定期間他の所得から控除計算することができる制度です。

<併用できないもの>

①相続税の取得費加算の特例

相続した不動産を一定期間内に譲渡する場合に、支払った相続税の一部を「取得費」という必要経費に算入することができる制度です。

多くの場合取得費加算の特例よりも空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例を利用した方が有利になりますが、支払った相続税額が大きい場合は取得費加算の特例の方が有利になるケースもあるので、適宜専門家に確認すると安心です。

 

まとめ

 

今回は空き家を相続して売却する際に利用できる「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を見てきました。

売却金額から3000万円を控除することで数字上の売却益を減らし、税金をかける対象を小さくすることで不動産譲渡所得税額を軽減することができるものです。

リフォームまたは家屋の解体が必要になるケースがあること、そしていくつかの要件を満たす必要がありますが、利用できるのに知らないでいると大きな損をしてしまうことになります。

故郷の実家に一人暮らしの親御さんがいる人はこの特例が使えるケースがあるので忘れないようにしましょうね。