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あなたの資産運用に「軸」はありますか?

2022年6月12日


軸とは、例えばプラモデルを作る上での設計図のようなものです。

仮に設計図がなくても、熟練者であれば作り上げられるかもしれません。初心者でも何となく見栄えは整えられることもあるでしょう。しかし、完成したものは一貫性がなく、ちょっとしたことでバラバラになってしまいそうです。軸があれば、一貫性があり、ゴール(完成)までたどり着きやすくなるはずです。

資産運用ついても、軸は必要です。

資産運用についての軸とは「運用計画、投資方針」を意味します。

なぜ軸が必要かと言うと、軸が無ければ、日々の株式相場に一喜一憂してしまうことになるからです。過去のデータを活用してリターンの分析は出来ますが、将来のリターン予測は極めて難しく、世の中のニュースや心理的な感情によっても投資判断を誤らせてしまうことがあります。

また、軸が無ければ、資産運用を開始した後でも、資産の増減で資産運用の良し悪しを判断してしまうことになります。一時的でも増えていればよい資産運用、減っていれば悪い資産運用と考えてしまうことにもなります。

ではブレない軸をどのように作ればよいでしょうか。

方法の一例を紹介します。

以下のような順序で作ります。

 

1 「ライフプランシミュレーション」を作成する

2 「理想的な資産運用とはどのようなものか」を整理する

3 「資産配分」を決める

4 「組入をする商品」を決める

5 「投資するタイミング(一括・分割・積立)」を決める

それぞれについて、もう少し詳しくみていきましょう。

1「ライフプランシミュレーション」を作る

「ライフプランシミュレーション」とは、現在の収入や支出から考える将来のお金のシミュレーションの事です。将来の貯蓄額を試算することが出来ます。

簡単な方法としては家計簿を確認して作成する方法があります。

家計簿等で下記の項目を確認します。

・月の収入、月の支出、貯蓄可能額、運用可能額

・一時的にかかる費用(教育費や車の購入)

・いざという時に必要な資金(病気、おおきなけが)

・将来受け取る予定の年金額、退職金額

・これらを整理して、エクセル等を活用して「ライフプランシミュレーション」を作ってみましょう

 

2理想的な資産運用とはどのようなものか確認する

ここでは先ほど作った「ライフプランシミュレーション」から以下のことを確認します。

・何のために資産運用を検討するのか

・必要な老後資金をいつまでに確保したらよいのか

・目標とする金額やリターンはどれくらいか

・途中で許容できる値下がり額(リスク)はどれくらいか

・運用可能額と運用予定額はどれくらいか

これらを整理して、目標とするリターンを得るにはどれくらいの投資リスクがあるか考えてみましょう。投資リスクを調べる上では、モーニングスター社のサイト(https://www.morningstar.co.jp/)が便利です。

 

3 「資産配分」を決める

先ほど考えた資産運用のプランに沿って具体的な資産配分を決めていきます。

ちなみに、資産配分とは別名「アセットアロケーション」とも呼ばれます。一般的に投資というと株式をイメージしますが、それ以外にも、債券、オルタナティブ(金・REITなど代替資産)など様々なものがあります。資産配分とはそれらの複数の資産クラスへの投資割合を決めることをいいます。リスク分散を図りつつ、長期的なリターン獲得を目指すにはこのアセットアロケーションが最も重要となります。様々な方法がありますが、運用目標やリスク許容度によっても最適なアセットアロケーションは異なります。アセットアロケーションを組むうえでは投資信託を活用する方法が一般的です。実際の資産配分では資金の性格(使う予定、使わない予定の資金)も考慮して決めましょう。

 

4 「組入をする商品」を決める

投資信託を選ぶ際には、金融機関(銀行・証券会社)の提供商品だけではなく、先ほどのモーニングスター社のサイト(https://www.morningstar.co.jp/)を活用して、自分で商品選定をすることも出来ます。商品選定でも特定の資産クラスに偏りすぎないようにしましょう。

 

5 「投資するタイミング(一括・分割・積立)」を決める

投資環境が悪化して資産が値下がりしていくことも想定してタイミングを検討してみましょう。

一括だけでなく、分割(複数回に分けた買付)、積立(毎月定額)などを組み合わせても良いと思います。そうすることで、最初に決めた運用計画(軸)はブレにくくなります。

 

改めて、「軸」とは何か?

ここまでご覧いただきありがとうございます。
「軸」作りのイメージはできましたでしょうか?

お気づきの方もいるかもしれませんが、この1~5のプロセスのなかで、経済や投資環境の話はほとんどでてきません。もちろん投資商品の話は皆無です。すべて投資をする皆さんの状態を中心に検討されています。これが重要です。

株式でも債券でも投資信託でも、ひとたび運用が始まれば自身の状態には一切関係なく値動きが始まります。
「もうすぐ退職して、収入が年金のみになる」
「急にお金が必要になった」
ときに、たまたま大きく資産が目減りしていることだってあり得ます。

つまり、個人的な事情と投資環境とは全く関係がありません。当たり前ですが。

だからこそ、まずはご自身の家計を中心とした運用計画・運用方針を「自分軸」として作っておく必要があるのですね。

過去の下落局面を知っておこう

ここまではプロセスの話ですが、過去の株式市場の動きを理解することも重要です。

過去の出来事、過去の株価(ここでは日経平均株価の値動きを例にします)を理解していれば、日々の株式相場の値動きや短期的な下落に一喜一憂しなくても済むからです。

皆さんは、「過去の日経平均株価の下落局面での下落率、下落期間」を記憶していますか?

下記は、日経平均株価の過去の主な下落時の下落率と下げ止まるまでの期間です。

この表から、株式投資を開始しても3年間下落し続けるケースや大きな下落後に日経平均株価が低迷したケースが過去に存在したことが分かります。また、3年間停滞したのちに、3年間上昇したということがあり、期待通りに株価は動かないことがあるということです。

このような状況では株式のみの配分では株価の日々上下に左右され、不安心理に襲われて誤った投資判断をしてしまうことが多くなることでしょう。

世の中が不安定な時ほど、保有資産の値上がり、値下がりが大きいくなりがちです。しかし、先程のように「しっかりした軸」があれば株式相場の日々の値動きに一喜一憂せず済みます。アセットアロケーションを組む上では、上記のような「しっかりとした軸」が重要です。もう一度ご自身に軸や計画があるか考えて長期的にみてうまく行く方法を再考してみてはいかがでしょうか。

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執筆者  北 辰一郎

シグマ株式会社
ファイナンシャルプランナー(CFP)

大学卒業後、大和証券に入社。 個人富裕層、法人顧客への資産運用設計コンサルタントに従事。営業表彰などを受賞。より地域に根差し、顧客本位な仕事をしたいと感じシグマ株式会社に入社。ファイナンシャルプランナーの上級資格である(CFP)を保有し、ライフプランに基づいた資産形成や資産運用のアドバイスはもちろんのこと相続や不動産など資産全般の相談に強みを持っている。
【趣味】 フットサル

【座右の銘】 思考は現実化する