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投資賢者は、株式を「利回り」で比較する

2021年4月27日


投資で得られるリターンには、『インカムゲイン』と『キャピタルゲイン』の2種類があります。

『インカムゲイン』とは、投資期間中に継続して得られる利益のことで、配当金もこれに含まれます。インカムゲインに主眼を置いた投資は利益が予測しやすいので、着実な資産形成に向いています。日本企業の場合は半年や一年に一度の割合で配当金が支払われます。また、日本企業独自の制度である「株主優待」もインカムゲインの1つとされます。株主優待は、企業が株主に感謝の意を示す意味で自社商品や優待券などが贈られます。
一方の『キャピタルゲイン』とは、株式の購入金額と売却金額の差額で生まれる利益です。購入時よりも値上がりした時に売却すれば利益が発生する一方で、値下がりした時に売却すれば損失が発生するので、キャピタルゲインを主眼とする場合は、売却のタイミングを見極めることが重要ですが非常に難しいです。

 

株式運用のひとつの方法として、『利回り』から判断する方法があります。

 

『利回り』とは、『投資額に対する収益』の割合を表す言葉です。一般的に、1年間の投資パフォーマンスを測る指標として利用されます。

配当利回り

配当を得られる株式投資では、利回りのなかでも『配当利回り』に注目して銘柄を検討していく方法があります。配当利回りとは、購入株価に対して、1年間でいくら配当金を受け取れるかを示す数値です。

 

『配当利回り』は、下記の式で計算できます。

配当利回り(%)=1株あたりの年間配当金額÷株価×100

たとえば、1株あたりの年間の配当金が10円、現在の株価が250円だとすると、配当利回りは4%です。仮に株価が同じであれば、配当金が大きいほど配当利回りは上がりますし、逆に配当金が同じなら、株価が低いほど配当利回りは上がります。

 

仮に同じ配当を出す企業があったとします。それぞれ比較する上で配当利回りが高ければ、株価は割安。一方で配当利回りが低ければ株価は割高として考えることも出来ます。以下にTOPIXと配当利回りの推移を作成しました。


*東京証券取引所HPより弊社作成

TOPIXとは東京証券取引所のHPより引用しますと、

TOPIX(東証株価指数)とは、東証市場第一部に上場する内国普通株式全銘柄を対象とする株価指数です。昭和43年(1968年)1月4日の時価総額を100として、その後の時価総額を数値化したものであり、日本経済の動向を示す代表的な経済指標として用いられるほか、ETFなどの金融商品のベンチマークとして利用されています。とあります。

上記図より、2021年3月29日現在、1995pt程度で昭和43年当時の19倍程度となっております。東証一部への上場数が年々増えているので、時価総額も年々増えていますが、配当利回りの観点では極端に割高とは言えないように見てとれます。

株式益回り

また、利回りを測るうえで使われる指標として、「株式益回り」という指標があります。1株当たりの純利益を株価で割ったものをいいます。これは株価収益率(PER)の逆数(1/PER)となっており、株式投資に「利回り」の概念を取り入れたものと言えます。

通常PERが低いほど、株価が割安と判断去るのに対して、株式益回りが高いほど株価が割安だと判断されます。たとえば、PERが25倍であれば、益回りは4%になります。PERが50倍であれば益回りは2%になります。一般的に株式益回りは株価水準と1株当たりの税引き利益を比較する上では同じ発想ですが、金利水準と比較を目的としているため逆数となっています。

長期金利(債券利回り)との比較

また長期金利(長期国債の利回り)から株式益回りを差し引いた「イールドスプレッド」などを用いて株式相場の割安・割高を判断するためにもこの指標は使われます。現在、日本では長期国債の利回りは0.071%(2021年4月21日現在)という状況であり、一方で株式益回りは4.07%(2021年4月21日現在:日本経済新聞社算出東証1部全銘柄)です。

株式益回り>国債利回りなので株式投資が魅力的にも感じられますね。しかし、もし国債の利回りが3%の状況で、株式益回りも3%の状況であれば国債で確実に3%の利回りを得たほうが安全でリターンもよいと考えられます。

また、現状のように債券の金利(利回り)がほとんどない状況では、株式益回りが「低い」株式でも成長性や将来性があれば、積極的に買われる可能性がありますが、逆に金利上昇に転じる局面では、益回りが「低い」株式から順に売られることもありえます。つまりPERが高い銘柄ほど売られやすくなるともいえるのです。

通常個別株への投資を検討するうえで、PERで何倍が適正かとみることが多いですが、それよりも債券利回りと益回りを比較することで買われすぎか判断する方法もあります。

まとめですが、「配当利回り」については個別株それぞれが過去と比較して現在どうなのか、「益回り」についてはPERだけでなく、債券利回りと比較して現在どうなのか比較をすると別の角度から株価が見えてくるのではないでしょうか。

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執筆者  北 辰一郎

シグマ株式会社
ファイナンシャルプランナー(CFP)

大学卒業後、大和証券に入社。 個人富裕層、法人顧客への資産運用設計コンサルタントに従事。営業表彰などを受賞。より地域に根差し、顧客本位な仕事をしたいと感じシグマ株式会社に入社。ファイナンシャルプランナーの上級資格である(CFP)を保有し、ライフプランに基づいた資産形成や資産運用のアドバイスはもちろんのこと相続や不動産など資産全般の相談に強みを持っている。
【趣味】 フットサル

【座右の銘】 思考は現実化する