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積立投資、ドルコスト平均法を超える!?バリュー平均法とは?


2022年3月10日

みなさま突然ですが、「バリュー平均法」という言葉を聞いたことはありますか?

バリュー平均法とはドルコスト平均法を昇華させた積立投資の方法です。

ドルコスト平均法は毎月決まった一定額を投資していく投資方法です。iDeCoやつみたてNISAなどの制度はこのやり方で積立をしています。

 

一方でバリュー平均法は時価残高があらかじめ定めた目標金額になるように投資環境に合わせてその投資金額を変動させるという積立投資の方法です。

 

具体的な例で見てみましょう。

ある世界株式のインデックスファンドに2012年1月から2021年12月までの10年間、毎月1万円積立投資をしたとします。ドルコスト平均法による積立です。

 

2012年1月~2021年12月

 

シミュレーションの数字は以下のようになります。

ドルコスト平均法

このような動きをした投資信託の場合、結果として120万円が259万円に増えたということになります。(約2.16倍

 

次にバリュー平均法で積立する場合を見てみましょう。

バリュー平均法ではあらかじめ目標リターンを決める必要があります。

今回の例では、目標のリターンを年率7%とし、毎月1万円積立投資をした場合の数字と比較して年1回投資金額を変えるとします。

7%複利運用の数字よりも成績が良ければ翌年の積立金額は減らし、成績が悪ければ翌年の数字は増やすといった具合です。

(本来のバリュー平均法ではリターン超過分は売却をするのですが、今回は売却はしない「ノー・セル・バリュー法」で検証します。)

 

毎月1万円を10年間7%複利で積立運用していくと173万円です。

最終的に10年後に173万円になるように毎年7%の複利運用の数字と照らし合わせながら積立をしていきます。

すると下記表のような結果になります。

ベースの積立金額は1万円です。

例えば2012年末の数字を見てみましょう。

2012年末の時価評価は136,219円となっており、2012年末の7%複利運用の数字である123,926円と比べて12,293円アウトパフォームしている(上回る成績を出している)ことがわかります。

よって翌年2013年の積立金額は

10,000円-(12,293÷12)=8,976円

となります。

 

今度は2015年末の数字を見てみましょう。

2015年末の時価評価は509,623円となっており、2015年末の7%複利運用の数字である552,092円と比べて

42,469円アンダーパフォームしている(下回る成績を出している)ことがわかります。

よって翌年2016年の積立金額は

10,000円+(42,469÷12)=13,539円

となります。

 

ちなみに2019年末は+199,393円アウトパフォームしており、月換算すると+16,616円です。

ベースの10,000円を大きく上回っているので、翌年2020年の積立金額はゼロになっています。

 

この例だと結果として97万円が222万円に増えたということになります。(約2.28倍)

 

結果として最終積立金額は259万円>222万円となりドルコスト平均法の方が大きくなっています。

一方でリターン率でみると227%>216%となりバリュー平均法の方が数字が良くなっています。また投資金額は97万円<120万円となり、少なく済んでいます。

 

別の例で見てみましょう。

先ほどと同じ世界株式のインデックスファンドに2006年1月から2015年12月までの10年間、毎月1万円積立投資をしたとします。(ドルコスト平均法)

 

2006年1月~2015年12月

シミュレーションの数字は以下のようになります。

ドルコスト平均法

この場合、結果として120万円が208万円に増えたということになります。(約1.73倍)

 

次にバリュー平均法を見てみましょう。

バリュー平均法

結果として112万円が233万円に増えたということになります。(約2.08倍)

 

注目すべき点は投資対象の基準価額が値下がりしているときに多くの資金を投資しているところでしょう。

例えば2008年末をご覧ください。7%複利運用との差額が-205,331円(月換算で-17,111円)になっているので翌年の投資額が27,111円になっています。結果として下がったところでドルコスト平均法よりも多く買い付けをしています。

その分投資額が大きくなってしまうので、バリュー平均法を実践する場合はある程度資金に余裕が必要です。

また、この例だと2013年の段階で194万円となっており、それ以降追加で投資をしていません。当初目標の173万円を達成しているので、この年でやめてしまうということもできますね。

 

改めて両者を比較してみましょう。

この例の場合、バリュー平均法が投資金額も少なく、リターンはドルコスト平均法以上と

いう結果になりました。

 

まとめ

バリュー平均法はドルコスト平均法と比較した場合、比較的高いリターン率をあげやすい傾向がある一方、相場下落局面では投資額が大きくなってしまうという特徴がありますので、もしバリュー平均法をやってみようという方はある程度資金に余裕を持ってから取り組むようにすると良いと思います。

教育資金やリフォーム代など、〇〇年後に▲▲円必要だ(目標がある)といった性質のお金をためていくにはバリュー平均法は最適な投資方法かもしれません。

単調に積み立てていくよりは面白いというメリットもありますね。

また今回は目標リターンを7%としましたが、この目標も自分が求めているリターンにすればいいと思います。

バリュー平均法を使って計画的な資産形成をされてみてはいかがでしょうか。

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執筆者  藤原 達彦

シグマ株式会社 執行役員
ファイナンシャルプランナー(CFP)
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

九州大学卒業後、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)に入社。個人富裕層、法人顧客への資産運用設計コンサルタントに従事し、営業表彰などを受賞。今まで以上にお客様視点で物事を考え、一人でも多くのお客様の役に立ちたいとの考えからシグマ株式会社に入社。丁寧なヒアリングとライフプランからお客様毎の課題を明確にし、最適な資産運用提案を心がける。

【趣味】自己啓発、四季報の読破、お酒、トレーニング・ジョギング

【座右の銘】継続は力なり

【講師実績】 名古屋証券取引所IRエキスポ2017、2018