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資産運用の最大の敵は?

2017年12月12日


資産運用の最大の敵は?

資産運用をしている人なら、誰もが「上手に運用したい」「失敗はしたくない」と思うはず。でも、うまく資産を増やしている人は意外と多くありません。長期的に見れば、世界の株式も債券も右肩上がりなのにどうしてなのでしょうか。
「投資にはリスクがつきものだから。」と言ってしまえばそれまでですが、実はそれだけではありません。資産運用がうまくいかなくなってしまう最大の要因は、自分自身にあります。

過去の株価の推移 【下図】をみると、じっくり長期投資をしていれば資産は大きく増えているはずです。しかし、そうならない人が多い。それは「長期投資」というものが、言葉では簡単ですが、実行することは意外に難しいことだからなのです。

 

はじめは、「長期投資」と思っていても、途中でやめてしまったり、方針を変えてしまう人が多いのです。

株式や債券には、必ず価格の変動があります。しかも、この値動きは周期的だったり、一定の幅で起こるのではなく、ほとんどの場合、予測不能です。時には、半分以上に値下がりすることもあります。実際に2008年のリーマン・ショック時には、様々な資産クラスが半分近くまで値下がりました。【下図】

もし、自分の運用資産が半分になってしまったらどうでしょうか。500万円が250万円になってしまったら。しかも、そこからさらに値下がりする可能性だってあります。多くの人が、「投資は失敗だった。もうこんなことはやめよう。」と思うでしょう。

逆に値上がりをしていても、途中でやめてしまう人もいます。当初は、預貯金よりは利回りがよければと投資を始めます。その後順調にいって、500万円が530万円になりました。でもそのとき、友人から「この手法がうまくいって資産が2倍になったよ。」と聞かされたらどうでしょう。もっとうまい方法があるのではと欲がでてしまい、長期投資をやめて短期の売買を始めるかもしれません。

資産運用をするうえで大切なこととして、米国の著名ファイナンシャルアドバイザーはこんなことを言っています。

「運用の方針を考えること。そしてその方針をみだりに変えないこと。これがとても大切です。」

まず、運用の目標を考える

私たちは、どこかに旅行にいくとき、目的地や宿を決めて、新幹線でいくかクルマでいくかなどスケジュールを立てます。しかし、資産運用を始める際に、目標やスケジュールを考える人は多くありません。経験上ですが、「預金しておくのはもったいないから、増えるだけ増やしたい。」と漠然と始めてしまいます。投資商品の勉強は熱心にしていても、肝心の目標とそのための戦略が立てられていないのです。

例えば、老後の資産として65歳で3000万円貯めたい!というのが目標ですね。45歳の人であれば、残された期間は20年です。仮に年率5%を期待リターンとして投資信託で積立運用します。(年率5%運用の場合の毎月の積立額は約73,000円)投資信託の中身は、海外や国内の株式、債券などに分散投資する教科書通りのものです。運用が始まれば、時期によって2割、3割値下がりするときもあるでしょう。でも、目標は20年後!と決めている人は、「先は長いし、いまは安く買えるチャンス」とポジティブに捉えることができます。一方でなんら目標も決めず、「預金よりは増えるらしい」と始めた人は、「これ以上値下がりしたらどうしよう」「いったん売って、もっと下がったら買い戻そう」などその時の状況に翻弄されやすくなります。

多くの入門書に、投資は長期が基本と書かれています。わかっているものの、人はつい目先のことで振り回されてしまうものです。そうならないためにも、一度明確な運用目標を立ててみてはいかがでしょうか。