古来から「死」=恐怖であり、世界中の多くの権力者たちが不老不死を求めてきました。中国では始皇帝が不老不死を求め、家来に仙人を連れてくるように命じたとされています。日本でも、「竹取物語」でかぐや姫が帝に「不老不死の秘薬」を渡しています。ちなみに、月に帰ってしまったかぐや姫を追いかけて、一番高い山の山頂でこの薬を焼いたことから「不死山」(富士山)という名称が生まれたそうです。話が飛びましたが、このように人間は長らく長寿を望み続けていたわけですが、いよいよそれが叶う?時代になってきたのかもしれません。
未来の働き方を描いたベストセラー「LIFE SHIFT」(The100-Year Life)が話題になっています。本著によれば、2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想されています。つまり、現在10歳以下の子どもの2人に1人は、100歳以上生きる可能性が高いということです。また、現在50歳未満の人は、100年以上生きることを想定しなくてはならないとされています。
実際に、100歳以上の高齢者人口は年々増え続けており、2016年9月時点では、65,692人です。ちなみに、そのうち88%が女性です。(厚生労働省、下図はご参考)
100歳まで生きることを仮定するとライフプランはどう変わるのでしょうか?
まず、支出については、総務省の家計調査報告を基に計算してみます。平均的な高齢世帯の生活費は年間約330万円ですから、100歳まで40年間生きた場合、1億3200万円となります。一方で、収入については、平均的なサラリーマン世帯で月額22万円、年間で264万円です。65歳から受給した場合、100歳までの年金収入はおよそ9200万円。必要な額からおよそ4000万円が不足する計算になりますただ、これはあくまでも現段階での年金額ですから、今後の社会情勢を考慮すれば、不足額はさらに何割か増えることは覚悟しなくてはなりません。
では次に、どのような備えをしていくべきなのでしょうか?
もし、現在勤労期の人であれば、最も大切なことは働く期間を延ばすことでしょう。これまでは、20歳から60歳まで働き、その蓄え(年金保険料を含む)で60歳から80歳までの老後を賄ってきました。つまり40年の貯蓄で、20年を支えてきたわけです。勤労:老後が2:1です。ところが、100年時代に60歳で仕事を辞めてしまうと、残りの40年間を同じ蓄えで支えなくてはなりません。これはかなり負担が大きくなります。仮に元気に70歳まで働くことができれば、50年働き、30年が老後となります。勤労:老後が2:1にはなりませんが、少しはましになるでしょう。
そして同時に金融リテラシー(知識)を高めながら、賢く資産形成を行うことも重要です。40歳の人が65歳までの25年間で4,000万円を貯めようとすると、毎月13.3万円ずつ貯金しなくてはなりません。結構大変な金額ですね。
しかし、もし仮に5%の運用ができたとすればどうでしょうか。毎月の貯蓄額は約6.7万円で済みます。これまでの世界の株式の平均リターン(7%)を考えれば、全く無理な数字とは言い切れません。期間が十分にあれば、ある程度のリスクをとってでも、殖やすことを考えてもよいでしょう。早い時期から資産運用を学ぶことで、金融リテラシーの向上させることも大切です。
また、既にリタイアしている人は、どう備えればよいのでしょうか?支出を減らすことは重要な要素です。ただ、それだけでは、豊かな生活とは言えないでしょう。もちろんリスクには配慮しながらですが、適切に運用することが大切です。下の図は、毎月6万円ずつ(高齢夫婦の平均的な取り崩し額)取り崩した場合のグラフです。運用しなかったとき(0%)
に比べて、1%でも運用ができた場合には大きな違いがあります。
では次に、どのような備えをしていくべきなのでしょうか?
もし、現在勤労期の人であれば、最も大切なことは働く期間を延ばすことでしょう。