fbpx

FPコラム > 本当の敵は「相場」ではなく「自分の心」? ~相場の変動に揺さぶられないメンタルの作り方~

本当の敵は「相場」ではなく「自分の心」? ~相場の変動に揺さぶられないメンタルの作り方~

2025年3月22日


投資を始めたばかりの人にとって、「株価の急落」や「予想外の値動き」 ほど不安を掻き立てるものはありません。

• 「このまま持っていていいのか?」
• 「今すぐ売ったほうがいい?」
• 「もっと買うべきだった?」

こうした感情に振り回され、冷静な判断ができなくなった経験はありませんか?

過去の大きな変動を乗り越えて大きな成果を上げることに成功した著名な投資家達は、短期の値動きに動揺することなく、淡々と戦略を実行し続けるという点が共通していることが多いようです。では、なぜ彼らは冷静でいられるのでしょうか?著名投資家達の格言や行動経済学から役立ちしそうなトピックをご紹介させていただきます。

なぜ人は投資の変動に振り回されるのか?

まず、原因から考えてみましょう。相場の変動に惑わされる理由は、主に 「人間の本能」 にあると言われます。その本能の影響でしばしば投資の判断が狂わされてしまいます。特に影響を与えるものを以下に挙げてみました。

① 損失回避バイアス

人は 「利益を得る喜び」 よりも 「損をする痛み」 を2倍以上強く感じる傾向があります。
例えば10万円の利益を得る喜びよりも、10万円の損をしたストレスの方が強いインパクトとなってしまう傾向があります。これが原因で、小さな損失に耐えきれず、長期的に有望な投資を早めに手放してしまうことに繋がってしまいます。

② 確証バイアス

人は 「自分に都合の良い情報だけを集める傾向」 があります。
「この投資先は儲かる!」と信じていると、関連するポジティブな情報ばかりに意識が向いて、リスク要因が視界に入らなくなってしまう傾向があります。
逆に、相場が下がると悲観的なニュースばかりが目につき、冷静な判断ができなくなることもあります。

③ 群衆心理

「みんながやっていることは正しいはず」 という心理があります。
相場が上がっていると飛び乗りたくなり、周りが売っていると、自分も売りたくなります。
そのせいで、「安値で売り、高値で買う」 という投資の成果を生むことに逆効果な行動をとってしまいます。
→まずはこれらの心理的傾向を理解し、自分がどのタイプの思考に陥りやすいかを知ることが、メンタルを鍛える第一歩かもしれません!

変動に強い投資家の名言

どうやったら変動に立ち向かうことができるのでしょうか。
著名投資家の名言と併せてご紹介させていただきます。

① 長期視点を持つ

・ 1日の値動きではなく、「5年・10年先の成長」 を見る。
・ 短期的な上下に一喜一憂せず、冷静に運用を続ける。

ベンジャミン・グレアム(ウォーレン・バフェットの師といわれる投資家)の名言

「市場は短期的には投票機(人気投票)だが、長期的には計量機(実力を測るもの)である。」
→ 一時的な人気や流行ではなく、企業の本質的な価値を見極めることが大切だと述べています。

② 事前に「ルール」を決める

• 「感情で判断しない」 ために、運用ルールを決めておく。
例:
「〇〇%下がったら売る」
「〇〇%上がったら一部利益確定する」
「毎月〇万円を積立てる」

ウィリアム・オニール(グロース株投資の第一人者と言われる投資家)のルールの一部

→買いのルール:EPS(一株当たり利益)が前年同期比25%以上成長したら買い
→売りのルール:株価が25~30%上昇したら売る、株価が8%下落したら売る

専門的なルールを決めることが難しいと感じるのであれば、まずは運用の目的を明確にすることや、ライフプランに基づいて運用方針を決めることから始めましょう。

③ 情報ダイエットをする

• 毎日株価をチェックしない → 毎日の値動きを見すぎると、短期の値動きが気になりすぎてしまうことがあります。
• ノイズを減らす → SNSや投資系YouTubeは、煽る内容やセンセーショナルな情報が多く、感情を刺激されがちです。信頼できる情報源をある程度絞ることも大切です。
実践例:
• 相場を見る回数を減らす(週1回 or 月1回など)
• 信頼できる情報源だけを見る(公式レポート、信頼できる人の意見)

運用計画に合わせてモニタリングする時期を決めておいてもよいかもしれません(例:年末年始や誕生日など)。状況が大きく変わっていれば、そこで運用計画を見直してもよいでしょう。そして、あくまでも株価や為替などの外部情報に左右されるのではなく、当初の目標に沿って検討すべきでしょう。

チャーリー・マンガー(ウォーレン・バフェットの右腕として成功を支えた投資家)の名言

「投資で成功するには、余計なノイズを排除し、本当に重要な情報だけに集中することが大事だ。」
→ 長期的な視点と忍耐力を持つ投資家が成功する可能性が高いと述べています。

④ 他人と比較しない

・ SNS等では「成功体験」が目立ちますが、失敗体験を嬉々として発信する人は限定的です。実際には失敗している人も一定数存在するということを意識しましょう。
・自分の投資目的と戦略を大事にし、「他人は他人、自分は自分」と割り切りましょう。

ウォーレン・バフェット(世界最高の投資家とも称される人物)の名言

「ゲームのルールを知り、それ以上に、自分自身を知ることが大切だ。」
→市場や他人の動きに惑わされるのではなく、自分自身の強み・弱みを理解し、それに合った戦略を取ることが重要と述べています。

⑤ 余裕資金で運用する

・生活資金とは分けて運用することで、「焦って売る」リスクや衝動を減らせます。
・ 投資資金が減っても生活に影響がないと分かっていれば、メンタルの安定に繋がります。

ピーター・リンチ(伝説のファンドマネージャー)の名言

「私のポートフォリオで大勝ちしているものは、大勝ちするまでに3年から10年以上かかっている。」
→長期間投資に回していても日々の生活に支障をきたさない余裕資金の範囲で投資を行うべきと強調しています。

具体的なメンタル管理のテクニック

先ほどのような名言を覚えたとしても、突発的な相場変動が起きた時、不意に我を失ってしまうかもしれません。そこで、メンタル管理のテクニック事例についてご紹介させていただきます。

① ルールベースの投資

→ 「感情に左右されないための決まりを作る」
• 運用目標と運用計画を立てる
• 「毎月○日に積立する」
• 「10%以上下がったら買い増し」

② 瞑想やマインドフルネスを活用

→ 不安や恐怖に振り回されないために、冷静さを保つトレーニングをする。
• 1日10分の瞑想
• 「今、自分は感情的になっていないか?」と自問する習慣をつける。

③ 「一時停止」ルール

→ 「不安になったら、即決しない!」
• 迷ったときは、いったん寝かせてみる。
• ひと晩おいて考えると、感情の影響が落ち着くことが多い。

まとめ:投資のメンタル管理は技術である

投資で成功するには、単に「良い銘柄を選ぶ」だけでなく、「感情をコントロールすること」が大切です。

🔹 感情的に動かず、戦略に従って投資する
🔹 情報を厳選し、短期の値動きに振り回されない
🔹 他人と比較せず、自分のペースで資産を育てる

「感情で動くな、戦略で動け!」を合言葉に、メンタルを鍛えていきましょう。

 


執筆者 山本 洋平
シグマ株式会社
ファイナンシャルプランナー
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)
宅地建物取引士

大学卒業後、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)に入社。個人富裕層、法人顧客への資産運用設計コンサルタントに従事。より一層お客様目線のコンサルティングがしたいと考え、シグマ株式会社へ入社。
お客様の真の相談相手になりたいと考え、親身なコンサルティングを心がける。お客様の現状と将来目標をしっかりと分析し、目標を達成するためのプランを立案。金融商品も証券アナリストの目線から厳選。

【趣味】ワイン、ゴルフ、社交ダンス、YouTubeで猫とカワウソの動画を見ること

【講師実績】名古屋証券取引所IRエキスポ2019、資産運用基礎講座