今年から新しいNISAが開始となり、慌ててとりあえず資産運用をはじめてみた方も多いのではないでしょうか。
今回はそのような方に向けて資産運用を考える際によく出てくる金融用語で、かつ意味もしっかり理解していただきたいワードをピックアップし徹底解説いたします。その用語に関連する過去のコラムもご紹介していきますので、そちらもご参考にしていただけると幸いです。
まず資産運用でよく出てくる「リスク」と「リターン」という言葉。一度は聞いたことがありますね。
「リスク」とは「損をする・危ない」といったイメージで受けとめがちですが、資産運用での「リスク」は値下がりする可能性ではなく、「不確実なこと・値動きの振れ幅」として表されます。
下記の図をご覧ください。図は、投資信託Aと投資信託Bの価格の変動を示していますが、投資信託Aに比べると、投資信託Bの方が価格の変動の幅が大きいということがわかるかと思います。この場合、投資信託Bの方が「リスクが大きい」と評されます。
また、「リターン」とは運用によって得られる収益のことをいいます。運用の結果によってマイナスとなった場合にはマイナスリターンと表現する場合もあります。
リスクとリターンの関係は、表裏一体の関係といえます。
大きなリターンを得ようとすると相応のリスクをとる必要があり(ハイリスク・ハイリターン)、リスクを小さく抑えようとするとリターンも小さくなる(ローリスク・ローリターン)という傾向があります。
今すでに資産運用をしているものがどの程度のリスク(変動)があるものなのかを一度確認してみると良いと思います。
資産運用をするうえでは、先程解説したリスクを抑えつつ、より安定した収益をあげるための手法があります。それがポートフォリオ運用です。
ポートフォリオの語源はイタリア語の「Portafoglio(ポルタフォリオ)」で、「紙ばさみや書類入れ」を意味し、欧米では紙ばさみに資産の明細を保管していたことが由来です。
ポートフォリオとは、異なるもの(株式や債券、不動産など)を組み合わせることを指し、ポートフォリオを組むことで分散投資を活用したより効率的な資産運用が可能になります。
分散投資と一言で言っても、やみくもにたくさんの資産クラス(株式や債券、不動産の種類)に分散すれば良い訳ではありません。
シグマ作成
上記の図のAとBのように、同じような動きをするものに分けて投資をしてもほとんど分散効果はありません。CやDのように、反対の動きをするもの(逆相関)に分けて投資をすることで分散効果は威力を発揮します。
またポートフォリオを組むには、自分の運用方針に適した資産配分(アセットアロケーションを設計する必要があります。
資産配分(アセットアロケーション)は、家計やライフプラン、運用の目的に応じて異なります。例えば、近い将来に使途が決まっている資産に対しては積極的なリスクはとりにくいと言えるでしょう。
ヘッジとは、リスクを回避・軽減するという意味の英語で、金融用語としては、投資や取引においてリスクを減らすことを指します。
よくある投資信託の説明で「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」という表現を聞いたことがある方もいるかもしれません。
海外の資産、例えば米国株式や米国債券で運用する投資信託を買う場合、買うときは円ですが間接的に外貨建て資産に投資していることになります。その際に為替リスクが伴い、特に円高局面では価格が下落してしまう恐れもあります。
そこで為替リスクを軽減するために用いられるのが「為替ヘッジ」です
「為替ヘッジあり」は為替の値動きによるリスクを抑えたい方にはおすすめです。これから為替相場が円高に振れると考えている場合にも適しています。ただし、為替ヘッジは為替相場の変動による差損を回避するため、外国為替の売予約、先物取引等を利用することによってヘッジコストというものがかかります。ヘッジコストとは、為替ヘッジを行う通貨の金利と円の金利の差で、米ドル建ての資産に対して為替ヘッジを行う場合、日米の金利差がヘッジコストとなります。
「為替ヘッジなし」は、為替変動によるリスクを許容できる方や、これから円安になると考えている場合に適しています。為替ヘッジ「あり」と比べると為替変動によるリスクは大きくなりますが、その分大きなリターンを得られる可能性もあります。
また、長期的な運用をする予定なら、為替ヘッジ「なし」を選んでも良いでしょう。
インデックスファンドというワードは、YouTubeなどでおすすめの投資信託を紹介している時に耳にすることも多いのではないでしょうか。
パッシブ運用とはあらかじめ定められた指数(インデックス)に連動することを目標にしている運用のことで、この運用を採用している投資信託をパッシブファンドまたはインデックスファンドと言います。インデックスファンドの方が聞き馴染みがあるかもしれませんね。
アクティブ運用とはあらかじめ決められた指数を上回る運用成果を目指す運用のことで、この運用を採用している投資信託をアクティブファンドと言います。
近年では、世界株高と円安を背景にインデックスファンド(世界株型や米国株型)の運用パフォーマンスも好調です。それもあってか、「インデックス投資信託=安心」といった印象をお持ちの方もいらっしゃいますが、実はそうとも限りません。
例えば日経平均のインデックス投資信託であれば、日本企業の225社に投資をしているため、一見分散をしている=安心と感じるかもしれません。しかし中身は株式ですので、日本株式全体が下がれば当然ながら基本的には値下がりしやすくなります。
反対に「アクティブファンド=危ない」と言うわけでもありません。インデックスを上回ることを目指すため、またはアクティブと言う名前からそういった印象がついているのかもしれません。各証券会社、銀行などでもこのアクティブ型投資信託の販売を過去積極的に行ってきた傾向があり、特に市場動向に注視が必要なテーマ(〇〇関連、〇〇国のみ)などを投資対象としたアクティブファンドを過去取り扱ってきたため、危ないというイメージが定着している可能性もあります。
先程インデックスファンドでもご説明しましたが、インデックスファンドもアクティブファンドも投資対象としているものが株式であれば、リスクはそれなりにあります。必ずしもインデックス=安全、アクティブ=危険ではないことに注意しましょう。
大事なのはそれぞれの特性を理解した上で選択し投資しているかだと思います。もう少し踏み込んで言えば、インデックスファンド、アクティブファンドで選ぶのではなく、先に解説した資産配分(アセットアロケーション)をまず考えることが重要です。
金融用語についていくつかピックアップをして解説してみました。
これから資産運用を考えている方は是非今回の内容を参考にしていただき、すでに資産運用を始められている方は、今回解説したポイントはもちろん、運用方法がご自身にあっているのか一度確認してみてはいかがでしょうか。
シグマ株式会社
ファイナンシャルプランナー(AFP)
大学卒業後、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)にて資産運用コンサルタントに従事。その後、みずほ銀行を経て、シグマ株式会社に入社。お客様のことを深く知って、お気持ちに寄り添ったアドバイスを心がける。お客様毎にライフプランに最適な資産運用を提案することはもちろんのこと、相続・遺言などにも強み。
【趣味】 神社仏閣巡り、甘味食べ歩き
【座右の銘】 日日是好日