fbpx

FPコラム > 金利上昇局面はグロース株よりバリュー株

金利上昇局面はグロース株よりバリュー株

2018年10月10日


米国の長期金利が上昇しています。

10月4日には一時、3.23%まで上昇し、2011年5月以来の水準に上昇しました。背景には米国経済の好調があります。3日発表の民間調査の雇用リポートで雇用者数が市場予想を上回り、米サプライマネジメント協会(ISM)の非製造業景況感が過去最高を更新しました。

さらにパウエルFRB議長による中立金利水準を超えて利上げを進める可能性あるとの発言も影響しているでしょう。

ちなみに、金利が上昇する局面では、グロース株よりバリュー株が優位になると言われることがあります。

グロース株とは「成長株」のことで、企業の売上や利益の成長率が高く、その優れた成長性ゆえに株価の上昇が期待できる株式を指します。ただし、株価が企業価値に比べて割高になっていることも多いです。

バリュー株は「割安株」のことで、本来持っている価値(その会社の利益や資産等に対しての評価)に比べて、株価が低いと思われる銘柄のことをいいます。

ではなぜ、金利上昇局面でバリュー株が優位になりやすいのでしょうか?

これにはいくつかの理由があります。

まずは、金利上昇局面では投資家がバリュエーション(投資の価値評価)に対して慎重になりがちです。

つまり、グロース株(割高株)について、

本当にその価値が妥当なのか?

割高すぎるのではないか?

と考えられるようになり、

反対にバリュー株(割安株)にも見直しの買いが入りやすくになるのです。

また、債券利回りの上昇(=金利上昇)が、より健全な経済状態を反映したものであれば、好業績の投資対象銘柄が増えて比較する機会が多くなるため、投資家はバリュエーションに敏感になるとも考えられます。

実際に、米国のある大学の調査によると、1983年から2015年までの金利上昇局面にあった5つの期間においてのバリュー株のパフォーマンスは年率14.4%、グロース株は年率8.3%と報告されています。

この期間ではどちらもプラスのパフォーマンスとはなっていますが、金利上昇局面では「バリュー株」の優位性が実証されています。

現在のような金利上昇局面では特に割高となっている会社には注意が必要とも言えそうです。

株式・投資信託・つみたて投資など資産運用の特徴と注意点がよくわかる!
無料オンラインセミナーの詳細はこちら

 

 

執筆者 吉田 篤
シグマ株式会社 代表取締役
ファイナンシャルプランナー(CFP)
日本証券アナリスト協会検定会員補(CCMA)

大学卒業後、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)に入社。個人富裕層、法人顧客への資産運用設計コンサルタントに従事。営業表彰やCS(顧客満足度)表彰などを受賞。その後、独立系のFP会社を経て、シグマ株式会社を設立。資産運用相談はもちろん、保険、相続対策、相続手続などについて、最適なプランニングを心がける。 若い世代から、シニアまでの「お金に関する悩み」の相談業務を行っている。

【講師実績】NHK文化センター、名古屋証券取引所、高年大学鯱城学園、名古屋市中小企業振興会、地元上場企業、東海東京証券など

【座右の銘】道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は戯言である

【趣味】温泉旅行、キャンプ、登山、釣り、ワイン会、読書(特に歴史に関するもの)