昨今、NISAの新制度開始やSNS、動画コンテンツの普及により、海外資産(米国株や世界株など)へ投資する方が急増しています。
それに伴い、「ニュースでよく聞く円安・円高って結局どっちがいいの?」、「どうして毎日為替レートが変わるの?」といった疑問を持つ方も増え合たのではないでしょうか
本コラムでは、為替の基礎知識から歴史、変動の理由、そして私たちが取るべき対策までを詳しく解説します。
〇為替とは
まず言葉の意味から整理しましょう。「為替」とは、一言でいえば現金を直接運ぶことなく、代金の支払いや受渡しをおこなう仕組みのことです。
例えば、遠方の人に1,000万円を渡したいとき、現金を持って電車や飛行機での移動は大変ですし、紛失のリスクもあります。そこで、銀行振込を利用すれば、現金そのものを動かさずに送金が完了します。これが「為替」の仕組みです。
日本国内で現金を運ばずに交換することを、内国為替と言います。
また、ほか国通貨の現金を運ばずに交換することを外国為替といいます。
〇「円高」と「円安」のメカニズム
「円高なのに数字が小さくなる(100円→80円)」という現象は、初心者の方が最初によくつまずくポイントです。
これを、リンゴを買う例で考えてみましょう。【基準】1ドル=100円(リンゴ1個が1ドルの場合)。 このときは、100円を支払えばリンゴが1個買えます。

【ケース①】円高:1ドル=80円。100円必要だったのが、80円で買えるようになります。
これは、ドルに対して円の価値が高まったことを意味します。これまでより20円安く買えるようになりました。

【ケース②】円安:1ドル=120円。リンゴ1個を買うのに、120円支払わないといけなくなりました。
これは、ドルに対して円の価値が下がったことを意味します。基準のときより20円、円高のときと比べると40円も多く払う必要があります。

〇為替の歴史
為替が日本で広く使われるようになったのは江戸時代からだと言われています。
当時の商人は、大量の現金を運ぶ際、強盗などの危険を避けるために「両替所」を活用していました。商人は両替所に現金を預けて「為替手形」を受け取り、それを取引相手に渡します。受け取った側は、自分の近くの両替所でその手形を現金に換えるという仕組みを利用していました。
〇為替の推移
世界から見た現在の「日本円」の立ち位置がどこにあるかを見ていきましょう。2021年から2026年にかけての為替推移を見ると対米ドルにおいて、日本円は相対的に円安傾向にあります。
しかし、2025年の始め頃から、ユーロやポンド、スイスフランといったほかの主要通貨は、米ドルに対してドル安の方向に動き始めています。
世界全体で見ればドル高傾向から変化が起きている可能性があり、ほか国の動きを考慮すると、日本円だけが今後も一方的に安くなり続けるとは限らない、という視点を持つことが重要です。

注:データは2021年1月~2026年1月
※Investing.comのデータを基にシグマ株式会社作成
※あくまでもシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではありません
今は為替が1ドル160円台に突入すると、騒がれますが過去には今よりも円安の時代がありました。
戦後の現代史において、為替は劇的に変化しました。
固定相場制(1971年まで):かつては「1ドル=360円」で為替が固定されていました。
変動相場制への移行(ニクソンショック):1971年のニクソンショックをきっかけに、今の「需要と供給で価格が決まる」仕組みに変わりました。直後には260円台まで円高に推移しました。
プラザ合意(1985年):アメリカの貿易赤字を解消するため、主要国が協力してドル高を是正する介入を行いました。これにより、1ドル240円台だったレートは、一気に120円台まで円高に推移しました。
リーマンショック(2008年):米国発の世界金融危機により、120円台から80円台という歴史的な円高時代が到来しました。
このように、為替はそのときの政治・経済の出来事によって、1ドル360円から80円、そして現在の150円台(本コラム作成(2026年1月9日時点))へと大きく波打つように変動してきました。
〇円安・円高のメリット、デメリット
円安・円高どちらがいいかは、立場によって異なります。
「円安で物価が上がって困る」というニュースがある一方で、「輸出企業の業績が良い」という話も聞きます。
ケースごとに為替のメリット・デメリットを見ていきましょう。
「海外旅行」
海外旅行においては、円高の方がいいです。円高であれば、旅行先の外貨に多く換えられるからです。
「家計・消費」
家計・消費においては、円高の方が良いことがあります。
円高であれば、安く輸入品を買うことが出来るからです。
「企業」
輸出企業にとっては円安の方が業績面から見ていいです。
輸出により得た外貨を沢山円に換えることが出来るからです。
逆に輸入企業は円高の方がいいです。安く輸入品を調達することが出来るからです。
「投資」
投資においては、あらたに海外資産を購入するなら円高の方がいいです。沢山外貨に換えられるからです。
逆に海外資産を売却するときは、円安の方がいいです。沢山円に換えることが出来るからです。
各ケースで共通して言えるのは、これから海外資産を買うなら円高が有利であり、すでに保有している海外資産を売却するなら円安が有利となります。
〇為替の変動要因
為替の主な変動要因としては、「金利差」、「貿易収支」、「物価変動」、「政治・地政学」があります。それでは、要因ごとに為替がどのように変動するのかを見ていきましょう。
「金利差」
一般的にはお金は金利の低いところから、高いところに流れると言われています。
日本が低金利で米国が高金利の場合、円を売ってドルを購入する人が増えるため、円安傾向になります。
「貿易収支」
日本の輸出が好調なら、他国通貨を多く得て円に換えるので、円高傾向になります。
例えば、日本の自動車会社が、海外に販売して多額の外貨を得たとします。
その外貨を国内に戻すためには、円に換える必要があります。ただ、最近は得た外貨をそのまま海外に置くケースも増えてきています。
日本の輸出が不調なら、円を多く他国通貨に換えるので、円安傾向になります。
「物価変動」
日本の物価が急上昇した場合、、相対的に円の価値が下がるので、円安傾向になります。
「政治・地政学」
要人の発言や、紛争・テロなどの社会不安が起きると、その国の通貨が売られる原因になります。
〇対策
為替の動きを100%正確に予測することは、とても困難です。為替はあらゆる要因により変動するからです。
このような不確実な状況に対する防御策は、大切な資産を一つの通貨にまとめないことです。
日本円だけを持つのではなく、米ドルやユーロなど、複数の通貨で資産をバランスよく保有することが重要です。
円高、円安どちらでも恩恵を受けられる体制を整えておくことが望ましいでしょう。
これが、経済状況の変化に柔軟に対応し、大切な資産を守り育てるための鍵となります。
今回の内容を参考に、円安・円高という言葉を単なるニュースの用語としてだけでなく、ご自身の投資戦略を立てる際の判断基準として活用してみてください。
シグマ株式会社
3級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学卒業後、三縁証券、岩井コスモ証券、保険代理店などで10年以上勤務。お客様から信頼をいただき、営業面で優れた実績を上げてきました。投資と保険の実務経験を生かしたアドバイスに強み。より高い知識やサービスを志してシグマに入社。
お客様のご希望の将来をしっかりとヒアリングし、適切なライフプランニング・資産運用計画の作成を心がけている。
【趣味】読書、美術館めぐり、旅行
【座右の銘】習慣は第二の天性なり