ざっくり解説!積立投資と一括投資どっちがいいの?
ここ数年で、つみたてNISA、iDeCo(イデコ)が話題となり、積立投資が広がっていますね。
弊社へのご相談でも、30代~50代の方を中心に積立投資に関するものが増えています。
政府が積立投資を推し進めているようにも感じる今日この頃、「だったら積立投資さえしておけばいいのか」 という考えにもなると思います。
とはいえ、預金に眠っている資金を投資に回すには積立投資だと時間がかかってしまうので勿体ないような気もする、、、。
今回はそのあたりをざっくりとわかりやすく解説します。
先に大ざっぱに結論を言ってしまうと、
現時点で手元にある余裕資金 → 一括投資
今後受け取る継続的な収入 → 積立投資
そして、
手元に余裕資金・今後の継続的な収入 両方ある → 一括投資+積立投資
がオススメです。
それではこれから、
①そもそも一括投資、積立投資とは
②一括投資・積立投資の特徴
③Q&A (余裕資金も収入もある場合は両方がオススメの理由)
を説明していきましょう。
一括投資とはその名の通り、一度にまとまった金額を投資することですね。
積立投資は、少額で例えば月1回などタイミングを分けて投資していく手法をいいます。
下の図のようなイメージです。
一括投資の特徴
・投資するタイミングの損益に与える影響が積立投資に比べて大きい
・損益の振れ幅が大きくなりやすい
積立投資の特徴
・スタートするタイミングの損益に与える影響が小さい
・損益の振れ幅が小さくなりやすい
次に、それぞれを比較した事例でみていきましょう。
シュミレーション(投資対象 投資信託 リターン5%/年の場合)
この例では、投資信託の値段(基準価額)が少しずつ値上がりしていっていますね。
積立投資は資金の大半が寝てしまっているのに対して、一括投資は最初からフル稼働しています。
つまり、手元に余裕資金があり、このような値動きが小さく安定的な投資対象の場合では、一括投資の方が有利になることがわかります。
次に、アジア株に投資をする投資信託Aを例にしてみましょう。2010年を100として、およそ10年で2.7倍くらいになっていますね。ただ、途中2015年から2017年頃には、「チャイナ・ショック」と言われる下落もあり、約3割ほどの下落も経験しています。
では、この投資信託に積立投資をした場合と一括投資をした場合では、それぞれどのような結果になったのでしょうか。
青い線が、120万円を一括で投資をした場合の資産評価額の推移で、赤い線は毎月1万円ずつ10年間(総額120万円)にわたって積立投資をしたときの推移です。
一括投資では、120万円が約335万円になり、積立投資では約210万円になっています。つまりこのケースでも一括投資をしていたほうが、より資産を大きく増やすことができたことになります。以下は、それぞれの評価損益の推移です。
以上の結果から次のようにまとめることができます。
短期でも長期でも、結果的に右肩上がりの(途中下落があったとしても)投資先であれば、積立投資よりも一括投資のほうが資産は増えやすい。
ということです。
しかし、「初めてなので、怖い」「(まとまった資金では)途中下落に耐えられない」といった心理的な負担を和らげるため、あるいは、そもそもまとまったお金がない人は、少額から始めやすい積立投資を検討するのがいいのではないかと思います。
Q :余裕資金はあるけれど、大きく損をするのが怖いです。なんとなく少額で安全そうな積立投資だけやったほうがいいと感じますがいかがでしょうか?
A :基本的には余裕資金については積立投資ではなく一括投資をされた方がいいと考えています。理由は、余裕資金を活用しないのは投資効率が悪くなってしまうからです。実際にこれまでのシュミレーションの通り、早くまとまった資産を投資した一括投資の方が大きな利益が出ています。
※ただし、一括投資はタイミングや期間で大きくパフォーマンスに差が出るので、投資対象や投資手法を分散する等、リスクに配慮する必要があります。
『今ある余裕資金』 → 一括投資が向いている
(ライフプランに合わせて投資対象・手法を分散する等の配慮は必要)
『将来入ってくるお金』 → 積立投資が向いている
株式・投資信託・つみたて投資など資産運用の特徴と注意点がよくわかる!
執筆者 山本 洋平
シグマ株式会社
ファイナンシャルプランナー
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)
宅地建物取引士
大学卒業後、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)に入社。個人富裕層、法人顧客への資産運用設計コンサルタントに従事。より一層お客様目線のコンサルティングがしたいと考え、シグマ株式会社へ入社。
お客様の真の相談相手になりたいと考え、親身なコンサルティングを心がける。お客様の現状と将来目標をしっかりと分析し、目標を達成するためのプランを立案。金融商品も証券アナリストの目線から厳選。
【趣味】ワイン、ゴルフ、社交ダンス、YouTubeで猫とカワウソの動画を見ること
【講師実績】名古屋証券取引所IRエキスポ2019、資産運用基礎講座