いろいろなお客様とご面談をさせていただくと、このような声をよく耳にします。
☑ 証券会社や銀行で勧められるままに売買した結果、運用状況がわかりにくくなった。
☑ 増えている資産もあるが過去の損失もあり、全体としてのパフォーマンスが把握しにくい。
☑ とりあえず余裕資金の一部を証券会社や銀行に預けているが、これといって目的がなく、なんとなく運用をしている
「木を見て森を見ず」という言葉があります。眼の前の利益にとらわれて全体が見えていないことを指しますが、このような状態になっている方が多くいらっしゃいます。
今回はある一つの事例を見ながら、どうすれば理想の資産運用が実現できるのか、参考にしていただければと思います。
【ケーススタディ】 女性(60代)
保有金融資産 2億5000万円
運用資産 2億円
■お客様情報
・収入は国民年金のみ
・夫に先立たれ、お一人様。
・昔から大手対面証券会社・複数社とお取引。
■お悩み
・運用を始めた当初は、国内債券を中心に保有していたが、証券会社の担当者の勧めで、株式や投資信託を保有するようになった。気づけば、米国株を頻繁に売買をするなど、積極型な投資スタイルに変わっていた。2022年の株式相場の下落により、米国株や投資信託の一部については、資産が半分にまで目減りした。
■理想とする資産運用
・収入が国民年金のみのため、安定した金利収入で生活を豊かにしたい。
・売り買いをするのではなく安心して長期保有したい。
・全体的には安定志向だが、一部では将来の値上がりを期待して楽しみを持ちたい。
■課題
・リスク性資産の割合が多い。ご本人様も商品内容を詳しく知らない。
・価格変動の大きい資産が多く、精神的にいつも落ち着かない。そのため、受け取っている配当金も将来の不安から使いづらい心境に。
昔から大手対面証券会社数社と取引しているお客様は、結果としてこのような状態になっていることが多い印象です。
「理想とする資産運用」と実際にやっている資産運用に大きな乖離が生じていることがわかります。
理想とする資産運用を実現するために、このような資産運用をご提案しました。
■ご提案概要
・収入が国民年金のみのため、インカム中心のポートフォリオに変えることで、より豊かで安心して生活できることを目的としてご提案しました。
・投資全体にメリハリをつけるために、リスクを取った積極的な部分と、長期的にインカムゲインを狙う部分に分けました。インカムゲインを目的とするポートフォリオは、債券や高配当株式など中心にしました。
・既に保有の日本株について、優待株や高配当銘柄のなかでも、財務が健全であるなど長期保有に適したものを残しました。
・お持ちのテーマ型投資信託をミックスアセットの投資信託に変更し、より穏やかな運用を目指しました。商品選定のポイントとしては、ミドルリスク・ミドルリターンを想定し、世界株、債券、REIT、金を投資候補としつつも金融・経済情勢に合わせて配分比率を変更してくれるような比較的わかりやすいものとしました。
・投資信託分析システムを使い、推計リスクと期待リターンを分析しました。その上で、リスクを下げた上で期待リターンが4%程度ある資産配分をご提案しました。
■BEFORE
・日本株式 4000万円
・国内株式型投信2000万円
・米国株式 3000万円(テーマ株の売買)
・世界株式型投信 6000万円(頻繁に乗換え)
・国内債券 3000万円
・米ドル建て債券 2000万円
■AFTER
・日本株式 2000万円(優待株、高配当株、ETF)
・米国株式 2000万円(高配当株、ETF)
・ミックスアセット投信 3000万円
・国内債券 3000万円
・米ドル建て債券 1億円(5銘柄に分散)
(年間受取利金 520万円)
提案前と比べて株式の割合は下がっていますので、ポートフォリオ全体で見るとリスクが下がり、より安定的な運用になっています。
また、米ドル建て債券による金利収入が520万円/年(43万円/月)を見込むことができ、国民年金プラスアルファの定期的な収入を確保できそうです。
【お客様の声】
今までは値動きが大きく日々ハラハラしていましたし、証券会社からも毎日電話がかかってきて、その話に乗っては短期的な利益ばかりを追い求めていました。計画性がなかったと反省しています。
シグマさんを通して、運用の目的を決めた上で運用計画を立て、短期的な運用から中長期的な目線に変わったことで、今ではあまり日々の値動きが気にならなくなり、前と比べて穏やかな日々を過ごすことができるようになりました。
いかがでしたでしょうか。
理想の資産運用を実現するためには、
①まず現状の家計や運用状況を把握する
②自分が理想とする資産運用方針を考える(リターン目標やリスク許容度など)
③それを実現するためのポートフォリオを検討する
④理想と現実のギャップを認識し、投資商品の見直しを実行する
といった手順で考えて実行していくとうまくいくと思います。
ただし、これをお一人で考えるのはなかなか難しいかもしれません。
もし今回の記事をご覧になられて、「理想の運用を実現したいが、何から始めたらいいかわからない」「一人で考えるのはとてもじゃないけど無理」といった方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、弊社にご相談いただければと思います。
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シグマ株式会社 執行役員
ファイナンシャルプランナー(CFP)
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)
九州大学卒業後、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)に入社。個人富裕層、法人顧客への資産運用設計コンサルタントに従事し、営業表彰などを受賞。今まで以上にお客様視点で物事を考え、一人でも多くのお客様の役に立ちたいとの考えからシグマ株式会社に入社。丁寧なヒアリングとライフプランからお客様毎の課題を明確にし、最適な資産運用提案を心がける。
【趣味】自己啓発、四季報の読破、お酒、トレーニング・ジョギング
【座右の銘】継続は力なり
【講師実績】 名古屋証券取引所IRエキスポ2017、2018