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早期リタイア、FIREをする際に気をつけることは?

2021年8月23日


先日、50代の女性のお客様から「早期退職しようかどうか迷っている」とのご相談を受けました。最近、「FIRE(Financial Independence, Retire Early)(経済的自立と早期リタイア)」に関する記事や書籍がたくさん出ており、その影響も受けているとおっしゃっていました。その際に、私から早期退職される前に知っておいていただきたい注意点や確認点をお話させていただきました。今回はその内容を簡潔にお伝えします。

 

厚生年金が減ってしまう

現在サラリーマンや公務員として働いている方は働く期間が減るほど将来受け取れる厚生年金額は働き続ける場合と比べて減ってしまいます。今退職をした場合、どのくらい年金を受け取れるのか、「ねんきん定期便」やねんきんネットなどで確認しましょう。

☑国民年金保険料、国民健康保険料を支払う必要がでてくる

厚生年金保険料や健康保険料は、勤めている企業が福利厚生として保険料の半額を負担し、残りの半分は一般的に給料から天引きされる形で支払っています。リタイア後は、これらが全額自己負担になります。

仕事をやめると、厚生年金保険料ではなく国民年金保険料を、健康保険料ではなく国民健康保険料を支払うことになります。

例えば令和3年度の国民年金保険料は月当たり16,610円です。年間だと199,320円の負担です。さらに、扶養している配偶者がいる場合、国民年金保険料は配偶者にもかかってくる点にも注意が必要です。場合によっては2人分の約40万円の負担となる可能性があります。

国民健康保険料は所得により異なりますが、数万円~数十万円の負担になります。

今後の支出(生活費)はどのくらいか

仮にリタイア後の毎月の生活費を25万円と想定するのであれば、年間の生活費は300万円です。

FIREでは年間の生活費の25倍の金融資産が必要という考えがあります。この場合7500万円の金融資産を達成することが目標になります。

 

☑4%ルールについて

FIREの考えの一つに4%ルールというものがあります。7500万円を運用し、年間4%の利回りで運用できた場合、年間300万円の収入になります。リスクを無視して考えた場合、生活費が月25万円(年間300万円)であれば、収入と支出が均衡しているため、資産を取り崩すことなく生活することができます。年間の生活費の25倍の金融資産が必要という考えはこの4%ルールから出てきています。

4%という数字は過去のアメリカの株式と債券の運用によるリターンをベースに算出されており、シミュレーションなどもあくまで過去のものがベースです。(もちろん日本でFIREを考える場合は、円ベースでの検討も必要なのはいうまでもありません。)

今までは世界の経済成長率が高く、金利も高かったわけですが、現在世界経済は先進国を中心に成熟化してきており、今後は低成長・低金利になってくることも想定されます。その中で4%という利回りで運用するという前提はやや楽観的な気がします。また、それ相応のリスク(特に値下がりリスク)も覚悟する必要がでてきます。

今後の収入はどのくらいか

労働収入、老齢年金、不動産収入など

仮にリタイア後もフリーランスで働き、月5万円(年60万円)の収入があったと仮定すると、先程の例では、(年間支出300万円-年間収入60万円)÷7500万円=3.2%の運用利回りで済むことになります。

運用以外の収入があることで、よりリスクの抑えた運用で実現することが可能と言えます。

☑お金を引き出す際の税金を最小限に抑える

特定口座・源泉徴収ありの証券口座で運用している場合、株式や投資信託の譲渡益、配当金、分配金には源泉分離課税で20.315%の税金がその都度発生し、引かれた残りを受け取ることになります。仮に年間300万円の株式の配当金を受け取ったとしても税金がそこから約61万円引かれ、手取りが239万円程度となってしまいます。

税金を最小限に抑えるためには、

①配当金に関しては確定申告することで税率が下がる場合があります。(総合課税で申告することになるため、所得が増えることによるデメリットも考慮する必要があるのでご注意ください)

②投資信託の定期解約システムを利用することで税金をおさえることができます。

こちらに関してはこの記事をご覧ください

 

毎月分配型投信より、投信「毎月解約」がお薦めの理由

 

定期解約システムが使える証券会社の数は少ないですが、「運用しながら崩していく」にあたり、非常に便利で画期的なシステムです。

リタイア後の長い年月をどうやって過ごすのか

仮に50歳で早期退職し、90歳まで生きる場合、40年間をどうやって過ごしたいのか、具体的に考えておく必要があります。人間ですので社会的つながりなどはやはり必要なのではないでしょうか。完全な孤独になってしまうと精神的にふさぎこんでしまう可能性もあります。幸せな生活を送るために早期退職しても結果として不幸になってしまっては元も子もありません。好きなことを仕事にし、少なくても収入を得ながら社会の役に立ち、ストレスフリーで悠々自適な生活を送る「サイドFIRE」のような手法が理想的なのではと個人的には考えます。

☑将来のライフプランシミュレーションを作り、長期的な資産運用のプランニングをしましょう

いろいろなチェック項目をあげてきましたが、最終的に大事なことはできるだけ正確な将来のライフプランシュミレーションを作成し、それに合った最適な資産運用を継続的に行うことです。また、現在作ったライフシュミレーションも年数ごとに環境も変わるため、定期的にアップデートする必要もあります。資産運用についてもリスク管理やリバランス等のメンテナンスが必要です。

ご自身ですべてを実行することは難しいと思われた方はぜひ弊社に一度ご相談くださいませ。

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執筆者  藤原 達彦

シグマ株式会社 執行役員
ファイナンシャルプランナー(CFP)
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

九州大学卒業後、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)に入社。個人富裕層、法人顧客への資産運用設計コンサルタントに従事し、営業表彰などを受賞。今まで以上にお客様視点で物事を考え、一人でも多くのお客様の役に立ちたいとの考えからシグマ株式会社に入社。丁寧なヒアリングとライフプランからお客様毎の課題を明確にし、最適な資産運用提案を心がける。

【趣味】自己啓発、四季報の読破、お酒、トレーニング・ジョギング

【座右の銘】継続は力なり

【講師実績】 名古屋証券取引所IRエキスポ2017、2018