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「おすすめ」の外貨建て保険は良いのか?

2021年5月5日


最近よく聞く外貨建保険とはどのような保険商品でしょうか。また、利用するメリットとデメリットについても解説します。

保険料の支払いと保険金の受取が外貨建て

外貨建保険とは、保険料の支払いと保険金の受取が外貨である保険商品です。例えば、100万円分の外貨建保険に契約する場合、100万円を運用する外貨に換算して保険料を支払い、保険金受取まで外貨のまま運用します。

保険金の支払いも外貨ですが、日本円で受け取りたい場合はそのときのレートで換算して支払われます。

 

【メリット】高金利の外貨で運用できる

最大のメリットは、高金利で保険料を運用できるという点にあります。日本円の金利は低く、普通預金金利は年0.001%ほどです。しかし、米ドルやオーストラリアドル建ての保険では、年2%~3%など高金利なケースもあるため、外貨として運用することで高い利回りを得ることができそうです。

ただし、注意が必要な点もあります。保険商品を活用した運用では、支払った保険料の全てが運用されるわけではありません。支払った保険料から各種費用が差し引かれて、残った部分が運用に回る仕組みとなっているからです。

例えば、元本100万円が年利3%で増えると言われれば、毎年3万円ずつ増えていって、10年で130万円になっているようなイメージがしますよね。でも、保険の運用利回り(積立利率といいます)が3%だったとしても、元本(保険料)の100万円から先にコストが差し引かれ、残った部分に3%が掛けられますので実質的にはそんなには増えないこともあるのです。

それでも預金にしておくよりはいいかもしれませんが、厳密にはその比較は妥当ではないと思っています。なぜなら、通貨が異なるからです。国の経済情勢等によって、そもそもの基準となる金利が違うわけなので、「円建ての預金」と「米ドル建ての保険」を比較することに違和感がありますね。もし米ドル建てで比較するのであれば、米国の預金や国債の利回りと比較するほうが、より公平ではないでしょうか。はじめての人には聞き馴染みがないかもしれませんが、外貨MMFや米国債であれば個人でも保有することは可能です。

【デメリット】為替変動による損失の可能性

保険料の支払い時期よりも保険金受取時や解約時が円安ならば良いのですが、必ずしも思い通りに為替が動くとは限りません。円高が進み、高金利で得られた利息を打ち消すほどの損失が生じることもあるのです。

例えば、1米ドル=100円のときに、100万円で10,000米ドル分の外貨建保険に契約したとしましょう。年1%の金利で1年間運用して解約する際に、為替が円高方向に進んで1米ドル=90円になったならば、日本円で909,000円を受け取ることになります(※)。つまり、せっかく高金利で増やしても、為替の動きによっては大きな損失を生むことになるのです。

※実際には為替手数料等が発生することもあり、受取額はさらに減ります。

反対に、為替が円安方向に進み、解約時に1米ドル=110円になっているならば、日本円で1,111,000円を受け取ることになります(※)。このように、日本円で預けていては得られないほどの高利回りを期待できることもあるでしょう。

※実際には為替手数料等が発生することもあり、受取額は1,111,000円よりも少ない金額となりえます。

いずれにしても、為替動向を予測するのは難しく相応のリスクはありますので、慎重に検討することが必要といえます。

 

変額保険の特徴とメリット・デメリット

一方、変額保険とはどのような保険商品でしょうか。利用のメリットやデメリットについても見ていきましょう。

受取額が運用によって変動する

変額保険とは、保険料の一部を投資信託などを使って運用する保険商品です。運用成績が良ければ満期時に支払った以上の保険金を受け取れますが、運用成績が良くない場合は支払った保険金以下の保険金しか受け取れません。

 

なお、変額保険では死亡保険金を設定し、保険契約期間中に対象者が死亡あるいは高度障害状態になった時に受給することが可能です。死亡保険金の金額は満期保険金とは異なり、最低額が決まっているため一定額は保証されることが多いです。

【メリット】定額保険より保険料が低め

変額保険は、同額の死亡保険金の定額保険よりも保険料が低めの傾向にあります。運用成績によっては定額保険よりも満期保険金が多額になるため、保険料を抑えて高額な保険金を期待したい方に適した保険商品といえるでしょう。

【デメリット1】運用によっては損失が生じる

運用成績が悪いと、払い込んだ保険料以下の満期保険金しか受け取れないことになります。定額保険では満期保険金は保険料総額よりも高額なので、手堅く保険金を受け取りたい方は定額保険を選ぶほうが良いでしょう。

【デメリット2】早期解約すると元本割れ

変額保険では、運用成績に関わらず早期解約すると元本割れ(保険料の払込総額よりも解約返戻金が低いこと)することがあります。途中で解約する場合は、どの程度の解約返戻金を受け取れるのか保険会社に問い合わせてみましょう。

リスクの少ない生命保険を希望する方には?

外貨建保険も変額保険も、保険商品の中ではややリスクの高い商品です。本来、保険は万が一のために備えることが目的のものと考えるならば、手堅く保証を得られるローリスクのものの方が適しているかもしれません。ローリスクの保険商品を2つ紹介します。

元本保証の「貯蓄型保険」

貯蓄型保険とは、満期保険金が払い込んだ保険料以上になる元本保証型の保険商品です。また、保険契約中に対象者が死亡するなどの特定の事由が起こったときには、契約時に設定した保険金を受け取れます。

貯蓄もしたいけれども保険で万が一に備えたいという方には、適した保険商品といえるでしょう。

保険料が安い「掛け捨て型保険」

貯蓄型保険は元本が保証されているという大きなメリットはありますが、その分、保険料が高く設定されています。

一方、掛け捨て型保険は満期保険金がないため、死亡などの万が一のことがないときには保険金を一切受け取れません。しかし、貯蓄型保険と比べて保険料が安く、家計の負担になりにくいというメリットがあります。

貯蓄よりも保証重視で保険を選びたい方は、掛け捨て型保険が良いでしょう。

そもそも保険で貯蓄は有効なのか?

保険を利用する目的が資産形成の場合、外貨建保険に比べて外貨建て債券の方が低コストといえます。また、変額保険に加入をして投資信託で運用するのであれば、直接自分で投資信託を選ぶつみたてNISAなども検討してみてはいかがでしょうか。つみたてNISAで運用するならば利益は非課税になるため、より効率的な投資ができます。

死亡時や病気のための保障が必要ならば、やはり保険が適しています。しかし、将来の資産形成を重視する場合は、債券や投資信託などの「投資」の方に軍配があがるでしょう。何を目的とするかによって、保険と投資を使い分けるようにしましょう。

リスクと保障のバランスを考えよう

投資の世界と同じく、保険商品にもメリット・デメリットがあります。まずは保険に何を望むのかを明らかにしてから、商品を選ぶことが重要といえます。

「掛け捨て」というイメージが無駄なものと思われがちですが、効率性を考えるなら保障は掛け捨て型保険、貯蓄・運用については、保険ではなく投資をすることを検討しましょう。

現在の保険が本当に自分に合っているのか、また、資産運用についてはどのような姿勢を取っていきたいのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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